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【ISEKIZEMI vol.3】SGホールディングスグループ|鈴木 勝彦(2019年卒業)

 
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城西大学経営学部伊関ゼミのOB・OGで、各界で活躍をしている方にこれまでのキャリアや将来の展望をインタビューする「ISEKIZEMI」。
第3回目のゲストは、SGホールディングスグループ陸上競技部に所属する鈴木 勝彦(すずき かつひこ)さんです。

高校当時は無名で平凡な選手。
大学入学後も大きな大会には出場することはできなかった鈴木さん。
しかし、大学4年次に見事箱根駅伝出場を果たし、現在は実業団で主将をしています。

そんな鈴木さんがなぜ大きな大会で結果を残し、現在もトップレベルで活躍ができているのか?
成功の秘訣をお伺いしました。

陸上選手「鈴木勝彦」

SGホールディングスグループ陸上競技部

ーーはじめに現在の仕事内容について教えてください。

現在は、SGホールディングスグループの陸上競技部に所属しております。

ーー陸上選手ということですね。仕事と練習の両立で大変そうですね。一日のスケジュールはどんな感じですか?

いえ、そんなこともないんです。
とくに試合前は、会社側が最大の配慮をしてくれるので、多くの時間を競技に使うことができます。
感謝しかありませんね。
私の1日は朝5時40分から始まります。

▼鈴木さんの1日のスケジュール
5:40  起床
6:00  朝の練習開始
7:30  朝食
8:45  勤務
16:00 夕方の練習開始
18:30 夕食
22:00 就寝

箱根駅伝に出場

ーー大学時代、箱根駅伝に出場したんですよね?

はい、4年生の時に1区を走りました。
結果は区間で16位という成績でした。

ーーレギュラーが決まった時の心境はどうでしたか?

監督には当初4区を任せると言われていました。
4区は20.8キロのアップダウンが多い区間。その心構えで準備をしていました。
しかし、1区を走る予定の選手が調整不良で走ることが難しくなってしまい、試合の1週間前に私に1区の打診がありました。
嬉しさと、緊張と不安が入り混じっていましたね。
それでも、監督に「お前ならできるから」と言われて、これはチャンスだと思って前向きに捉えるようにした。
“できることを尽くそう”
みんなには区間一桁を目指すと宣言していましたが、個人的には走ることに誇りを持って全力を尽くすことだけを考えていました。
結果は16位でしたが、1区を走れたことは最高の思い出になっています。

ーー箱根駅伝に出ると周りの反応もすごいんじゃないですか?

それがそうでもなかったんですよね。
LINEなどはきましたが、あれ?こなんもんか・・・と(笑)
「箱根に出るのは通過点で、もっと上を目指さないと注目してもらえないな」と思いました。
ただ、高校の担任の先生は喜んでくれたので、それは嬉しかったです。

ーー結果には満足していますか?

全くしていないですね。
私たちの代は強い世代と言われていました。
全日本駅伝ではシード権も獲得し、監督からも箱根駅伝で5位を狙えるとチームだと。
結果、箱根では4年生が軒並みブレーキしました。
当時の4年生は6人が実業団に入り、それなりに活躍していることを考えると、決して満足できる結果ではなかったですね。

「ただ努力をすれば良いのではない」

凡人

ーー鈴木さんは高校の時から有名な選手だったんですか?

無名選手でした。
福島県立二本松工業高等学校に通っていましたが、陸上部の長距離部門は私しかいないようなスモールチームでした。
大会の時に、たまたま城西大学駅伝部の櫛部監督の目に留まったのが城西大学入学へのきっかけでしたね。
櫛部監督は私ではない選手を偵察にきていたのですが、その時たまたま私の走りをみて、それで声をかけていただきました。
運命を感じますね。

ーー大学入学後はどうでしたか?すぐに頭角を現したり・・?

全然ダメでした。大学3年生まではAチームには全く絡めませんでした。
ずっとBチームにいました。
高校から大学に上がった時はモチベーションも高く、練習(1日30キロ以上)も相当しましたが、故障が続いたり思ったように結果が残せませんでしたね。
どれだけ頑張っても良いタイムを出すことができず、ある試合で「この試合で走れなかったらマネージャーを志願しよう」と決意しました。
迎えた当日、”5000メートル14分台”を条件にしていましたが、目標タイム内で走ることができました。
「覚悟と努力が足りていなかった」と反省しました。
そこからは、毎日コツコツ地味なことをやり続けました。
3年生のときには箱根駅伝の16人のメンバーにも入れるようになり、走るたびに記録を更新していました。
出雲駅伝にも出場、全日本駅伝では区間5位の記録を残すことができ、この調子で箱根は3区、4区なら区間一桁、9区復路なら区間賞を狙っていました。結局は1区を走ったのですが。
この時はとても良い状態でしたね。

自己分析と自己肯定

ーー”コツコツ地味なこと”とは具体的にどんなことをしたんですか?

大学2年までの私は”ひたすら走る”というのが努力だと思っていました。
これが最大の誤ちでした。
自分に合う努力をしていなかったんです。
冷静に自己分析をすると、私は人より身体が痛くなる傾向にあることに気がつきました。
そこからは自分なりの練習をしました。
人と比べて練習をするのではなく、他の人より距離を減らしてスピードをあげる、他の人よりスピードを落として距離を伸ばす、など自分にあったメニューを取り入れました。
結果に変化が出たのもそこからですね。

ーー自分を知ることが大切ということですね。精神面で意識したことはありますか?

なるべくポジティブに。プラスに。ということを意識していました。
これは伊関先生のゼミに入ってから大きく変わりましたね。
先生からもそういう言葉をかけてもらっていましたし、無理やり肯定する癖がつきました。

ーー昔からそういう前向きな性格だったの?

いや、真逆の性格でした。
結構ネガティブで、1回でも失敗するとすごく落ち込むし、引きずっていました。
人と比較してどうなのか?なども気にしていましたね。
伊関先生と出会って前向きになる大切を知り、その後箱根出場も経験したことで、「前向きになるとこんなに物事がうまくいくんだ」という成功体験はつくれました。
今は自分と向き合うようにしています。

人生の軸

人に優しく、自分に優しく

ーー鈴木さんが大切にしている”軸”はなんですか?

「人に優しく、自分に優しく」です。

ーーはじめて耳にする言葉です。どういう意味でしょうか?

私は自分に厳しくすると人に厳しくしてしまう傾向があります。
高校時代は、「なんで俺は走っているのに、お前は走らない」みたいなことを言ってしまったりしました。
どうしたら人に優しくできるのか?というのを考えた時、自分にも優しくすれば人にも優しくできるのではないか?と思って意識を変えました。

ーーなるほど。でも、”優しさ”と”甘え”って紙一重ですよね?

“優しさ”というのは、相手のことを思った発言・行動ということです。
なので、”優しさ”よりも”思いやり”という言葉の方が近いかもしれませんね。
まずは相手を肯定すること、そしてその人にあった最適なコミュニケーションをとっていくことを意識しています。
同様に自分に対してもとにかく褒めるようにしています。これも肯定ですね。
まずはよくやった。その中で、ここは改善した方が良いという点を挙げていく。否定から入る改善ではなく、肯定から入る改善をしています。

“強い”とは

駅伝はチームスポーツ

ーー陸上競技について質問をさせてください。結果を出せる選手はどんな選手ですか?

自分の能力の出し方を分かっている選手ですかね。
同じチームに橋詰 大慧という選手がいるのですが彼なんかはまさにそうです。
何というか、スイッチが入った時の集中力が異常に高く、練習時は独特な雰囲気があります。
説明は難しいのですが、明らかに自分の考えに基づき意識して行っているように感じます。

ーー駅伝は走るのは個人ですが、チームワークが必要だったりもするんですか?

個の力が強いだけでは勝てないことを箱根に出た時に感じました。
私たちの代はまとまりがありませんでした。勢いがある時は次々と良い結果が出ましたが、悪い時もボロボロになり歯止めがかからない状態でした。箱根がその悪い時でした。
やっぱりスポーツも仕事もそうだと思いますが、誰かのために、試合に出られない人のために、そんな思いをしっかりと共有できている時が強いし、良い結果が出ると思います。
それが”結束力”であって、それがないと上にはいけません。駅伝はチームワークが必要か?間違いなく必要ですね。
今年のニューイヤー駅伝で7区(区間12位)を走ったのですが、その時は試合に出られない先輩のことがずっと頭にありました。
この先輩のためにと思うと自然に力が湧いてきて・・
これが選手にとって必要なことで、チームが強くなる条件なんだと思いました。
選ばれた代表の誇りというか。

2年目で主将に就任

ーー現在は社会人チームでキャプテンをされてるんですよね?2年目でキャプテンというのはすごいですね?

私もびっくりしました(笑)
ある日、監督代行に呼ばれて「今年のキャプテンは誰が良いと思うか?」と聞かれました。
悩むことなく、先輩が良いと伝えました。
しかし、監督代行には、私たちの代と翌年の代で一気に選手を獲得していることもあり、新体制の土台づくりをしていきたいという意向がありました。
そういった背景で「キャプテンをしてみないか?」と私に打診がありました。

ーー他にも同級生は5人いると思いますが、なぜ鈴木さんが選ばれたんですか?

なぜでしょうね(笑)
正直、言われた時はなんで自分?みたいのもあったので、その日はすぐに返事はできませんでした。
次の日の朝練習中に監督代行と会って、「どうだ?」と聞かれました。
「性格が明るく、誰とでもコミュニケーションをとる。そういう姿をみてお前が良いんじゃないかなと思った。あまり背負う必要もないし、走りで引っ張れば良いから」と言っていただき、やってみよう!と決心がつきました。

ーーでは、鈴木キャプテン。どんなチームにしていきたいですか?

監督代行からは目標はニューイヤー駅伝3番以内と言われています。
ただ、SGホールディングスグループはまだ入賞が2回しかないチームです。
私としては8位入賞を常にできるチームにしていきたいと思っています。
強いチームというのはずっと結果を出すチームです。そういった意味で入賞を常にしているチームというのは最低条件だと思っています。
もちろん、3位を目指します。

ーーそこに向けた現時点での課題はなんでしょうか?

東京在籍選手とのコミュニケーションですかね。
実は、うちのチームは東京(5人)と滋賀(10人)の2つに分かれていて練習をしています。
私たちの代からこのような分け方が始まりました。(旭化成や住友電工も同様の分け方をしている)
2拠点間の連携がすごく難しいと感じています。
中でもメンバー選考は全員がちゃんと納得感を持てるかが不安です。
練習が別なので、結果でしか判断しません。それがプロフェッショナル集団であるといえばそれまでですが、あくまでチームスポーツなので。なるべく全員が納得感を持って大会に望みたいと思います。
ここに関しては、東京側に副キャプテンがいるのでちゃんとコミュニケーションをとっていきたいと思います。
あとは合宿など一緒になるタイミングでしっかりとコミュニケーションをとることを意識しています。

ーー新キャプテン、離れた環境。これは大きなチャレンジになりそうですね。

将来の夢

真の陸上選手「鈴木勝彦」

ーー鈴木さんの将来の夢はなんですか?

日本選手権(5000メートル)に常に出られる選手を目指しています。
これに出てこそ「真の陸上選手」。「鈴木勝彦は陸上選手」と言われれるようになりたいです。
日本選手権の標準タイムまではあと10秒以内です。
まずは、そこをクリアして入賞を狙っていくのが個人の目標です。
チームとしては、3,4年後に3位以内を取れるチームになりたいと思っています。

現役選手として30歳まではやりたいな・・
一方で選手生活を終えてから、どうするのか?というのは考えられていません。
新しいことできるのかな?っていう不安は正直ありますが、考えても仕方ないですから。
今は陸上を一生懸命やることしかできない。そこで「ファン」を増やすこと、繋がりを増やすことが大事だと思っています。

伊関ゼミ

伊関先生との出会い

ーー伊関ゼミにはどういうきっかけで入ったんですか?

はじめて授業で先生をみたときに、大学にこんな先生がいるんだという印象がありました。迫力があった(笑)
この先生の話を聞いたら自信持てるんじゃないかな?と思って入りました。
あとは、伊関先生も駅伝部のことはすごく応援してくれているし。
実際にゼミに入ってからは「ポジティブに」とか「コミュニケーション」ということを言われ続けました。
ここまで言われると無意識でそうなってくるもんです。
伊関ゼミは就活に向かっているゼミですが、競技に対しての持っていきた方もとても近いものがあり、多くの学びがありました。
特に”スピーチタイム”は良いですね。
※伊関ゼミでは定期的に、全員の前で3分間スピーチをする場が設けられる
スピーチタイムは、みんなの前で話をして、伊関先生やゼミ生からコメントをもらいます。
前向きなことを語って、前向きなフィードバックをもらえる。
そこから自信が湧いてきて、結果も出るようになってきました。
就活も中々決まりませんでしたが、伊関先生が「諦めるな」と言い続けてくれて、最後まで頑張ることができました。
ゼミの同級生もすごく感謝しています。
自分に興味を持ってくれて、すごく応援してくれたのも大きかったです。(他の学生はそこまで駅伝部に関心がなかったりする)
生活どうなの?箱根頑張ってね!とか。
この輪に入れたことが競技以外の面でのメンタル維持に繋がったと思っています。

ーーゼミの雰囲気は良かったんですか?

すごく良かったと思います。
伊関ゼミは話すことがメインなので、話すことに拒否反応が出なくなります。
無理やりしゃべること、人の話を聞くこと、コミュニケーションをリードする力。そういうことが学べる場所だと思います。
私は3年次から入ったので、もっとはやく入っておけば良かったな〜と思いました。

ーー最後に伊関ゼミ生にアドバイスはありますか?

大学時代に1つだけ後悔があります。
それは色々な人と交流をできなかったことです。
私は駅伝部にいて駅伝部としかいませんでした。
でも、ゼミに入ってこんな素晴らしい人たちがいるのかと知りました。
決まったコミュニティで行動するのではなく、色々な人と交流することで幅も広がるし、選択肢が広がると思います。
確かに、今いるコミュニティは楽かもしれません。
でも、そこは殻を破って欲しいと思います。

ーー鈴木さんありがとうございました。今後のご活躍を応援しています!

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Comment

  1. アバター 石井龍太 より:

    1年次に私のゼミにいた鈴木君とは別人の様な成長ぶりです。驚き、また嬉しく思います。

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