【ISEKIZEMI vol.7】販売実績全国1位を記録|藤田 栄(2018年卒業)
城西大学経営学部伊関ゼミのOB・OGで、各界で活躍をしている方にこれまでのキャリアや将来の展望をインタビューする「ISEKIZEMI」。
第7回目のゲストは、株式会社ヤオコー(東証一部上場)に勤務する藤田 栄(ふじた さかえ)さんです。
大手スーパーマーケットチェーンに就職
任された大役
ーー現在の仕事内容を教えてください。
関東地方のスーパーマーケットチェーンを展開する株式会社ヤオコーで働いています。
現在は、販売部に所属しておりまして、販売部の中のベーカリー部門で製造・販売をしています。
ーー入社1年目の登用式では代表挨拶を任命されたという噂を事前に聞いております。詳しく教えていただけますか?
はい。登用式で代表挨拶をさせていただきました。
この話には少し裏がありまして…
実は登用式の前に入社式でも同様に代表挨拶をするチャンスがあったんです。
200名の新入社員から10名に候補者が絞られ、その候補には入ることができましたが、惜しくも代表になることはできず、非常に悔しい思いをしました。
その時、次の登用式では絶対に代表になるという決意しました。
登用式では、代表を決めるために200名の新入社員全員がスピーチ文を作成します。
その中で私のスピーチ文が選ばれ、目標であった登用式でスピーチを果たすことができました。
ーーまさに悔しさをバネに!ですね。選ばれた理由はなんだったんですか?
会社が求めていることを的確に捉え、書くことができた事が要因だと思います。
「これからのヤオコーをどうしていきたいのか?」「自分がどうなりたいのか?」を会社のビジョンや方針に沿って書きました。
具体的には、ヤオコーでは”楽しい職場づくり”というテーマがあるので、「どのようにしたらそれが実現できるのかという話」や、「自分は店長になって売上NO.1店舗をつくりたいと思ってる」などを書きました。
ーー伊関ゼミで培える”文章力”が活かされていますね。200名+役員の前で話をしたとのことですが、緊張はありませんでしたか?
もちろん緊張はありましたが、言葉に詰まるようなことはありませんでした。良い緊張でしたね。
伊関ゼミでの経験から人前で話すことは慣れていたので(笑)
ーーここでも発揮される伊関ゼミのスピーチ力!
順調なステップで3年目を迎える
ーー2年を終えて、ご自身の実績はいかがですか?
2年目で主任に昇格することができ、ベーカリー部門を任されるようになりました。
ヤオコーのベーカリーでは、有名なカレーパンがあるのですが、特売の日に1日1000個を販売し、ヤオコー全店舗で1位の実績を出すことができました。
その後、販売実績が評価され、入社3年目で全国の売上上位16番目の店舗に異動をすることができました。
ベーカリー部の上層部からは今年1年で更に実績を積み上げて新店舗や超大型店舗の主任を目指して欲しいと言われています。
カレーパンの販売実績で全国1位を記録
具体的な戦略とアクション
ーーカレーパンの販売実績で全国1位というのはすごいですね。在籍する店舗が大きいわけではないですよね?どのような努力をされたのでしょうか?
はい、店舗としては中型店舗という類に入ります。
中型店舗でも全国1位をとるという目標でやっていました。
そこに目指していくつか取り組んだことがあります。
1つ目は、”事前準備”です。
「1位をとるためにどうすればよいのか?」
まずは1位の店舗の分析からスタートしました。どのようなオペレーションや販促活動をしているのか?1人あたりの販売個数はいくつなのか?など細かく調査することで、より具体的に何をしなくてはいけないのかが明確になりました。
企業に置き換えると競合分析にあたる部分です。
2つ目は、”販促活動の工夫”です。
事前準備によってやることは明確になったので、次は実行に移します。
開店と同時に売り場のひと枠をすべてカレーパンで埋め、15分間隔で揚げたてのカレーパンを陳列し、店内マイク放送と連動して告知しました。
マイクは9時〜19時まで繰り返しました。これは非常に効果的な戦略でした。
スーパーでは15分単位でお客様も入れ替わるので、漏れなくリーチするには15分単位が適切だということが分かったのは大きな気づきでしたね。
3つ目は、”売り場で試食を出し続けること”です。
カレーパン自体は非常に美味しく、一度食べていただくと購入へと繋がる可能性は高いことは分かっていたので、マイクと同様に1日中試食コーナーを設置していました。
ただ試食を出すだけではなく、試食分の個数計画やオペレーションの効率化など考えて工夫しないといけないポイントがいくつかありました。
ーーここまで具体的なお話を聞くと、偶然ではなく必然的な結果のように感じました。
ーーカレーパン祭りはどれくらいのペースで行われるんですか?
3ヶ月に1回のペースで行われます。
昨年の7月で全国1位をとって以降、ずっと1位を取り続けているので、ここに関しては再現性を持たせることができたと思っています。
ーー確か、PI値?というのがスーパーでは重要な指標なんですよね?
はい、PI値は重要指標として定めています。
ヤオコーでは100人来店された時に、何個商品が売れるか?という指標です。
一般的に10個を超えると凄いと言われていますが、私のいるベーカリー部門はPI値で30を超えています。
3,000人きて1/3がカレーパンを買ってくれる計算ですね。
ーーすごいですね(笑)
日々の「トライ&エラー」が快感
見えてきた課題
ーー色々と順調のように見えますが、大変な経験はありませんでしたか?
クリスマス〜12/31は毎年大変です。
トップスピードの持久戦という、かなりハードでありながらクールな頭を求められます。
はじめて主任として望んだ年末は色々とうまくいかないこともあり、店長にはまだ足りないと厳しいお言葉もいただきました。
私の課題は「分析」の部分です。
閉店まで、お客様に商品を提供し続けられるのか?その根拠は何か?参考となる数値は?
なぜ、200本のフランスパンをつくるのか?そこまで突き詰めて考えることができていなかったと思います。
様々なことを想定し、多角的に考える力はまだまだ不足しています。
店長や先輩がどのように考えているのかを学び、課題に取り組んでいきたいと思います。
ーーご自身の課題が見えているということは素晴らしいことですね。少し話は変わりますが、コロナ初期はスーパーは大変だったのではないでしょうか?
私たち含め小売業はすごく大変な時期だったと思います。
レジは常時長蛇の列で、レジ待ちで100組もいるような状況でした。店舗運営だけではなく、製造コントールをしないといけないので、そこの人員調整も苦労がりました。
パートさんはこの状況でも働いてくれているので、最大の感謝をし、コミュニケーションをとっていました。
一方、一体感も生まれてチームビルディングという点では非常に良い傾向だったと思います。
仕事の魅力
ーー藤田さんが思う、この仕事の魅力とはなんでしょう?
お客様の評価がダイレクトに伝わってくることです。
商品一つの陳列もお客様の反応が全く違います。
新商品を前に陳列すれば良いわけではない。新商品を嫌いなお客様もいる。
それを想定し、陳列や販促をし、それが販売実績にどう反映されるか?
トライ&エラーを繰り返す。
お客様をみてPDCAを回すことは非常に魅力的に感じています。
学生時代
努力をしない人生に終止符を
ーー藤田さんはどんな学生時代を過ごしましたか?
入学した時は腐ってましたね(笑)
私は大学に入るまでは努力をせずに過ごしてきました。
高校も大学も内申点で入れる学校を選択して・・・
余談ですが、指定校推薦の面接官は伊関先生でした。
大学に入った時は卒業して適当に企業に入ることができえば良いな〜くらいにしか思っていなかったのですが、教員紹介で伊関先生のお話を聞いて少し考えが変わりました。
伊関ゼミに入れば、もしかしたら自分が変われるかもしれないと思ったんです。
ーー伊関ゼミに入ってみてどうでしたか?
最初は結構大変でした。
毎回一緒のグループの人とお題について話すのですが、話が続かないし、講義の終わりに書くレポートも半分くらいしか書くことができませんでした。
しかし、辛抱強く続けることで自分の成長に気がつくことができ、それに嬉しさを感じるようになっていきました。
そこからは流される人生から自分で選択する人生に変わり、アルバイトも目的をもってやれるようになりました。
アルバイトは若葉ウォークの映画館でやっていたのですが、時間帯の責任者にもなることができ、交友関係もガラッと変わりました。
自分は口下手で話すのが得意ではなかったが、学内で色々な人から声をかけられるようになったり、関わる人が増えました。
高校までの自分を考えると想像もできませんでしたね。
それくらい伊関ゼミに入って変化があったということです。
逃げなかったから見えてきたライバルの姿
ーー就活の思い出を教えてください。
伊関ゼミでは、3年生は夏休み中にインターンシップを10社受けるという課題があったのですが、これは相当キツイ思いをしました。
インターンシップでは上には上がいるということを思い知らされました。
学歴も高く、コミュニケーション能力も高い人がうじゃうじゃといたんです。
埼玉県の田舎で少しコミュニケーションができる程度の自分は井の中の蛙だったと…
もっともっと自分を高めなくてはいけないと思いましたね。ただ、この事実を知れたことは大きな一歩でした。
これまでの自分であれば腐って逃げ出す選択をしていましたが、その時の自分は前向きに課題に取り組もうとしたんです。
幸い伊関ゼミには互いを高め合える仲間がいたので、チームで戦うこともできたし、最終的には自分が入りたいと思う企業にめぐり逢い入社することもできました。逃げなくて本当に良かったと思います。
培えたものをひと括りにすると「コミュニケーション能力」なんですけど、これは本当に自分の宝(財産)です。
ーー学歴が高い人に勝つにはどうしたら良いと思いますか?
ありきたりですが、コミュニケーション能力だと思っています。
就職試験の段階では、学歴によるアドバンテージは確実にあります。
しかし、入社してしまえばもう関係ありません。
仲間を増やすことや仲間と共に創るというのが大切で、それは学歴は一切関係がありません。
売上1位店舗の店長へ
虎穴に入らずんば虎児を得ず
ーー藤田さんが大切にしている軸のようなものはありますか?
迷った時は「虎穴に入らずんば虎児を得ず」という言葉を自分に言い聞かせています。
チャレンジするということは非常に難しいことです。
失敗すれば瞬間的にはすごいダメージを受けますが、成功した時は最高の気分や達成感を味わえます。
そして何より、後で振り返れば成功しても失敗しても、どちらにしても自分にはプラスになっているということです。
だから、必要なのは一歩踏み出す勇気だけ。
それができたら、もう勝ちだと思うんです。
だから伊関ゼミ生の皆さんにもチャレンジを続けて欲しいと思います。
伊関ゼミはチャレンジを応援する文化であり、背中を押してくれる。
そこにいることで既に人より一歩リードしていると思ってください。
ーー最後に今後の目標を教えてください。
やっぱりヤオコーで売上1位店舗の店長になることです。
その中間目標として、今はベーカリーで1番の主任になることを目標にしています。その次は副店長に。
売上1番をとるためには、売上1番をつくる組織をつくることが必要です。
人材育成や、チームビルディングができる能力や、周りから応援される人格者であることなどまだまだ成長していかないといけないと思っています。
その中で主任である自分はどんなことができるか?副店長になったら何ができるか?
ステップアップをする段階で求められることも変わるし、得られる経験も変わってくると思います。
一歩ずつ進んでいきたいです。
ーー素敵な目標ですね。これからの藤田さんのご活躍が楽しみです!!